カラムシにつく暴れ毛虫

センターの西の出口を出て右手側にある田んぼの土手にはカラムシがたくさん生えています。

イラクサ科の植物であるカラムシは古くから繊維を取るために栽培されてきた歴史のある植物で、染料としても使われたり、新芽は食べることもできます。また、葉の粉末を練りこんだ新潟県十日町のからむし麺が有名です。

ですがカラムシを食べるのは人間だけではありません、カラムシの群生の中をのぞくと大きな毛虫がついていました。

フクラスズメ(Arcte coerula)の幼虫です。

主にイラクサ科のイラクサ、カラムシ、ヤブマオを食べ、カラムシでよく見かける幼虫です。毒々しい見た目ですが無毒で、毛も柔らかくとても人を刺せるようなものではありません。しかし、肌が敏感な人やアレルギーの人は肌がかぶれることもあり、フクラスズメが食べるイラクサには葉のギザギザに毒針があり幼虫を触ろうとしてイラクサの毒針に触れミミズ腫れができてしまうことがあります。

このフクラスズメの幼虫は毒こそありませんが外敵に対してある方法で抵抗します。

それがこちら、外敵が近づくと上半身を激しく振りイヤッ!イヤッ‼と激しく抵抗します。

オオスズメバチなどの大型のハチには果たして効果があるかは分かりませんが、フクラスズメより小さい寄生バチや寄生バエなら追い払えそうです。

ぶんぶん体を振る姿は芋虫が苦手な人なら背筋が凍るでしょう、しかしフクラスズメは必死の思いでやられまいと暴れているのです。最後には遠心力でなのかそれとも自発的なのか食べていた内容物を吐き出すほど暴れ懸命に身を守ろうとします。

中にはこんな風に暴れたり、蛹化が近いのかあまり抵抗しない者もいるなど個体差はあるようで全体的にもうすぐ蛹になりそうな終齢幼虫ばかりでした。フクラスズメは成虫になるとそのまま越冬し、民家の隙間やトンネルなどの温度差が少ない場所で春までじっと過ごします。この時天敵のコウモリと身を寄せ合う奇妙な場面を稀に見ることもあります。

大抵の蛾は成虫越冬や蛹のまま土の中で越冬するものもいるためこの時期は芋虫シーズンです、寄生性昆虫やこの時期には凶暴になるスズメバチなどの脅威の中、次のための準備を頑張る芋虫を観察してみるいいかもしれません。