こんな時期に?

9月7日 15:27

桶ヶ谷沼の入口にある看板の横に生えているハンノキの枝の先に何やら青白いものがぶら下がっているのに気づき

確認してみると、なんとも素晴らしい蛾がついていました。

「オナガミズアオ」のメスだとおもわれます。オナガミズアオは幼虫期にハンノキやヤシャブシなどのハンノキ属の植物を食べて育つ蛾で桶ヶ谷沼のような湿地環境に依存した種です。

非常によく似ている近縁種のオオミズアオはサクラやブナ科などを食べ、森林環境によくいるため、食べるものや生息環境で両者はすみわけをしています。

お腹はかなりぷくぷくと膨らんでいて、この中には卵がたくさん詰まっています。またオナガミズアオを含むヤママユガ科の蛾は口吻が退化しているため基本的に何も食べず、幼虫期に蓄えた脂肪を使って活動します。

成虫期に何も食べず、限られた時間の間に繁殖を行う種類の昆虫はほかにもカイコガやカゲロウ、オニクワガタなどがいるためそれほど珍しくはありません。

手と比較してみるとやはり大きいです。オナガミズアオのようなヤママユガ科のガは基本大型な蛾で、今の時期はヤママユやクスサンの発生期でオナガミズアオはもう終わりの時期ですが、この個体はかなり遅く羽化したようでこれから交尾する相手や有精卵を生むことができるでしょうか?生物はたまにこのような例外があり絶対はないことが多いのでこのような状況をよく目にします。どんどん知識を蓄えていくとすぐに確定させるのではなく複数の可能性をもって結論を急がないように努めることが最善であると感じてきます。なのでこの蛾がオナガミズアオであるとはっきりと書いていないわけなのです…(前翅の白と赤の境界が明確、後ろ翅の眼状紋が大きく円形などオナガミズアオの特徴があるものの触覚が黄色いなどオオミズアオの要素もあるため)